大井鉄也研究室が関わった梅ヶ丘駅前の「小さなカルチャーセンターPUBLICO」の建築?空間デザインが、キッズデザイン賞2024優秀作品として、「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」において特別賞(審査委員長特別賞)を受賞しました

建築学系 准教授 大井 鉄也

世田谷区で活動するNPO法人子育て支援グループamigoと本学との受託研究において、理工学部建築学系の大井鉄也研究室と下北沢で活動する建築設計事務所の株式会社タンタブルが共に取り組んだセルフビルド建築プロジェクト、梅ヶ丘駅前の「小さなカルチャーセンター PUBLICO」の建築?空間デザインが、キッズデザイン賞2024優秀作品として、「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」において、特別賞(審査委員長特別賞)を受賞しました。
同賞は、特定非営利活動法人キッズデザイン協議会が、子どもの安全?安心と健やかな成長発達に役立つ優れた製品?サービス?空間?活動?研究などを顕彰するもので、今年で18回目となります。

8月21日に受賞作品の発表があり、応募作品409点からキッズデザイン賞として受賞作品237点が選出されました。また、9月18日には、優秀作品33点の発表が行われ、本プロジェクトが、「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」において、特別賞(審査委員長特別賞)に選出されました。

本プロジェクトでは、誰一人取り残さない社会の実現に向けて、NPO法人子育て支援グループamigoが産前産後の子育て支援や地域コミュニティ形成の拠点をつくることを目的にしたもので、誰もが建築空間に手を加えていけるセルフビルド手法と移転後も建設資材を解体して流用できる再現可能な施工方法を開発しました。

参加したのは大井鉄也准教授と大井研究室の大学院修士課程2年生の5人で、株式会社タンタブルの丹治健太氏の主導のもと、施主との打ち合わせから建築設計、模型製作、施工までを実施しました。
また、地域の人々が空間づくりに気軽に参加することが完成後の主体的?継続的な利用につながると考え、専門家による建築材料や工具の使い方のレクチャーやワークショップを実施するなど工夫を凝らした取り組みを並行して行ったほか、誰もが容易に製作できるシステムにしたことで完成後も利用者が容易に手を加えていける空間デザインを創出しました。

参加学生のコメント(学生はいずれも大井研究室修士2年生)

古賀愛実さん
限られたコストの中で納得いくものをつくることに苦戦しましたが、話し合いを重ねるごとにamigoの方々も私たちも使われ方のイメージが具体化され、徐々にカタチになる過程は学びが多く、実際に使われるところを見たときはとてもやりがいを感じました。

塩川瑛介さん
本学の大井研究室が、設計?施工として初めて請け負うプロジェクトであり、限られた予算や期間の中で人材と建材の両方をやりくりする現場は驚きの連続でした。検討から施工までを繰り返しながら施主が要求する空間のイメージ以上のものを目指す、貴重で楽しい経験を積むことができました。

當間由人さん
建築デザインは、一つの組織だけではつくることはできないことを改めて痛感しました。施主がいて、設計者がいて、施工者がいる。3者と密にコミュニケーションを取ることで、施主の要求がデザインのヒントとなり、実際につくる過程を経験できたことはよい機会でした。

松添靖志さん
施主に対して、ものづくりを行うことの難しさを学びました。初段階のプレゼンテーションで提案した時から竣工までスムーズにはものごとが進まず、さまざまなことに苦戦を強いられ、建築実務の難しさを痛感しました。とてもよい経験ができました。

木村 竜久さん(オーストラリアに留学中)

大井准教授のコメント

梅ヶ丘駅前という本学に通う学生にとって身近なエリアにおいて、子育て支援?地域コミュニティの形成の核となる建築空間を、設計から施工まで携わることができたことは、NPO法人子育て支援グループamigoの石山様および株式会社タンタブルの丹治様に感謝しています。学生にとっては、大学の設計演習の授業では架空の設計課題に取り組んでいますが、本プロジェクトのように、頭の中でイメージした建築空間が設計?施工を通じて実現し使用されている状況を観察できたことが、彼らの建築のよりよい学びになっていると感じています。そして、本プロジェクトの建築デザインのメインテーマである、誰もが建築空間に手を加えていけるセルフビルド手法および移転後も建設資材を解体して流用できる再現可能な施工方法の開発について、一つのモデルが示せたことが素晴らしかった。

設計打ち合わせ風景
施主との打ち合わせ風景
模型写真
工事中の風景
オープニング風景
完成した空間
授賞式で賞状を受け取る株式会社タンタブルの丹治健太氏
参加した大学院生らと大井准教授(右)