ブックタイトル国士舘史研究年報第7号
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国士舘史研究年報第7号
「小野寅生日記」にみる戦中?戦後と国士舘13授業停止(小学校を除く)、学徒は軍需生産?食糧増産?防空防衛に総動員となった以後も続いている。小野は、先に紹介したような家柄ゆえ、勉学の中でも剣道に重きを置いており、とくに直接指導を受けた小川忠太郎の教えは、日記にも数多く登場する。内容は、剣道を通しての精神的訓戒といったものが多い。たとえば、「日記」一九四五年三月二日には、次のようにある。劍道と云ふものは妙なもので相手に打たれて怒る者は無い、打れると云ふのは自分の悪るい所を打たれるのである。打たるれば、あ!あそこが悪るかつたのだな今度こそは打たれぬ様にしようと直すが、外で自分の悪い所を注意されると腹が立つ、そんな事では駄目である、常に道場に居る時と同じく、悪い所を注意されたら、すなほに直ほさなければいかぬ、何時も道場に居る時の心を心として。(小川先生御注意)要するに、剣道では、自分の隙を突かれ、打たれることにより欠点を見いだせる。これを日常生活にも置き換えて、人から注意を受けることにより、足らないところを見いだせるのであるから、素直に応じなさいとの教えである。また、現在、国士舘では、学ぶ者自らが不断の「読書?体験?反省」の三綱領を実践しつつ、「誠意?勤労?見識?気き魄はく」の四徳目を涵かん養ようすることを伝統として教育理念に掲げているが、柴田德次郎の訓話にはそれが盛り込まれている。三綱領については、「礼儀を持つて、何事にも置すれば諸人懌よろこび幸あり、之に加ふるに誠意を持つてし見識を持つてす、気魄は見識の生む所也、故に見識を磨く為大いに勉強しなければならない」(「日記」一九四五年三月一九日)と述べ、四徳目については「国史を読め、国史を読めば昔の人が如何にして上に仕へ如何にして事を処したかゞ分る、而しかして見識を養ひ、持つて読書する事に依り反省をし体験をして立派な国士に成らなければならぬ」(「日記」一九四五年五月九日)とそれぞれ日常生活の中で活かせるよう導いている。二 学徒勤労動員一九四四(昭和一九)年三月、政府は「決戦非常措置要綱ニ基ク学徒動員実施要綱」を閣議決定し、中等学校生徒以上の全員を工場に配置することとなり、全国の学