世田谷区と本学は昨年度から、区内公立小学校に在籍する外国人児童の学級に本学外国人留学生を派遣し、授業内支援する取り組みを継続して行っています。
同区では日本語の習得が不十分な児童生徒に対し、訪問指導や通級指導など時期に応じた指導を行っています。それらの取り組みに加えて、学校現場からの支援ニーズに応じる形で、昨年6月から9月にかけて、同じ言語を母語にもつ本学外国人留学生が児童の学級に入る形での支援を行いました。その事例を好機に、今年は10月から12月にかけて2校に合わせて4人の大学院生が支援に入っています。
12月9日は、本学大学院人文科学研究科博士課程2年の張琢月さんが、中国から来日した男子児童の在籍する小学2年生の学級で支援を行っていました。2時間目の体育の授業では、担任の声かけやチームの作戦会議で交わされる会話を逐次伝えていました。3時間目の学活は学校行事で披露する出し物についての相談活動で、児童が話し合いに参加できるよう自然な形でフォローする姿が見られました。
昨年から継続して支援事業に関わっている張さんは「支援の初日、男子児童は抵抗感を示し、クラスメートとも距離を取って過ごしていた。中国に帰りたいという言葉も聞かれて心配していが、11月ごろから急にクラスメートと積極的に関わるようになった。日本語の理解度も高くなってきているので、このまま順調に学校生活に溶け込めるように最大限サポートしたい」と話しました。
帰国?外国人教育相談室の教育相談員である宮本正彦先生は、「大学生の支援が入る日の朝は表情が明るいと聞いている。同じ母国語をもつ学生の存在は心強いだろう」と話します。教科学習以外での支援について「教科学習への支援は欠かせないが、学活は1つのイベントをクラスメートと共につくりあげる過程で学級への所属感が生まれ、教科学習とは異なる効果が期待できる。一方で、3年生になるとクラス替えがあるほか、理科?社会が教科に加わり途端に学習内容が難しくなる。学校生活や通級での補習教室で日本語を向上させるのと並行して、スムーズに学年が上がるようなサポートが必要になる」と継続的な観察の必要性を述べました。
外国人児童に対して連続性のある多様な学びの場を提供する試みとして、今後も支援を継続していく予定です。