2024.12.11

世田谷区シニアスクールで本学教員が講演しました

世田谷区シニアスクールは 2005年に発足し、60歳以上を対象とした世田谷区生涯大学(2年間)の修了後、更に2年間の自主研究会に参加した方、および会員から紹介された方で構成されています。
会員数は 約350名、大学などの施設を利用して年間約30回の講演会を実施しています。
国士舘大学では2006年度以降、地域連携の一環として講師派遣と施設貸出を行っています。

2024年度、本学会場での開催は全7回を予定しています。

福永 晶彦教授「戦後の航空機産業の発達と現状」

11月26日の講演は、経営学部 福永晶彦教授による「戦後の航空機産業の発達と現状」がテーマでした。
講演ではまず、日本の航空機産業の現状は他の先進国に比べ規模は小さいものの、次期戦闘機の開発を進めており、中でも飛行艇の技術開発は、島国である日本が、離島への急患や飛行機墜落時の救出に必要であったため、他国にもあまり類を見ない高度なものである、との説明がありました。
また、戦後の航空機開発?生産の歴史については、戦後、アメリカ製軍用機のライセンス生産を行うことから復興を始めた技術取得が、日米貿易摩擦で発生したアメリカとの軋轢をも乗り越え、我が国の航空機産業発展に大きく貢献し、ひいては自動車産業にも影響を持つことになった、との解説がありました。
テーマとの兼ね合いか、男性の聴講者も多く見られ、活気にあふれた講演会となりました。

講師を務めた福永教授

佐藤 雄哉講師「高齢者の転倒予防について」

10月15日の講演は、体育学部 佐藤雄哉講師による「高齢者の転倒予防について」がテーマでした。 
講座の前半では、転倒?転落?墜落事故の実状とリスク回避についての説明がありました。
「交通事故の4倍」である「年間9,500人が転倒等で死亡」していること、そしてそのリスク要因の中、「危険を予測?想像できるもの」は日常生活の中でシミュレーションすることが大事であり、また「改善できるもの」はトレーニングによってリスクを減らすことが可能である、との話があり、危険を予測?想像できる場所を実際にリストアップしたり、また、自宅でも出来る簡単なトレーニングの紹介もありました。
後半では、佐藤先生の専門領域である「柔道」の特性が、実は転倒予防の仕組みと結びついており、柔道を活用した国内外での予防活動が紹介されました。聴講者のニーズに合致した演題内容で、質疑応答も活発に交わされ、大変盛況の中、講演が終了しました。

講師を務めた佐藤講師

地神 裕史教授「センシング技術の発展で生じたスポーツ?医療の革命」

9月3日の講演は、理工学部地神裕史教授による「センシング技術の発展で生じたスポーツ?医療の革命」がテーマでした。 
講座では、地神教授がスタッフとして参加したパリオリンピックの裏話を交えながら、現代では健康や医療、スポーツにおいてセンシング技術は不可欠であること、特にスポーツにおいては大谷翔平選手を例として、データを適切に理解し、忠実にトレーニングできる人がその分野におけるパイオニアとなる時代である、との解説がありました。パワーポイントを使った解説には動画がふんだんに盛り込まれ、普段は見られないオリンピックの裏側や、実際のデータ測定時の様子を見ることが出来、大変盛況な講座となりました。

講師を務めた地神教授

貝瀬 英夫教授「イギリス文学の教訓性」

7月2日の講演は、法学部貝瀬英夫教授による「イギリス文学の教訓性」がテーマでした。
貝瀬教授ははじめに、諸外国からイギリスへの侵略の歴史と、侵略によって持ち込まれた他言語が、古?中英語に与えた影響について解説し、その後、時代ごとに代表的なイギリス文学を例に挙げながら、それぞれの作品の根底に流れている「教訓」を分かりやすく説明して行きました。有名な作品の中でも、トマス?マロリーの『アーサー王一代記』は「人は見た目で判断すべからず」「誓いの重要性(前言撤回は無用)」を諭していること、またウィリアム?シェイクスピアの『リア王』は「美辞麗句の危険性」「老いの問題」を提起している等、現代社会にも通ずる「教訓」がイギリス文学のさまざまな作品に見て取れ、そしてそれは他の国の文学にはあまり見られない傾向である、との解説がありました。

講師を務めた貝瀬教授

波多野 圭吾講師「地域スポーツのこれまでとこれから」

5月7日の講演は、政経学部波多野圭吾講師による「地域スポーツのこれまでとこれから」がテーマでした。
波多野講師は、はじめにスポーツの歴史を世界各国の時代背景とともに説明し、スポーツは各時代において役割が異なることを解説しました。
その後、Jリーグのシャレン!事業や茨城県立カシマサッカースタジアム内の施設運用の取り組みなど旬の話題を取り上げ、地域とプロスポーツの関わり方の多様性について解説しました。
最後に、多岐にわたるスポーツの役割の中で、今後はアマチュアスポーツを含めた地域との連携がより大切になると述べ、本学と世田谷区をはじめとした、大学スポーツと地域との新たな関わり方の可能性を感じられる講義となりました。

講師を務めた波多野講師