私たちの研究テーマのほとんどは、ある特定の地域をフィールドとする活動(=研究プロジェクト)から派生しています。配属学生はプロジェクトを通じ、地域、人々と直に関わりあいながら、学び、卒業研究や修士論文に取り組みます。私たちの武器は、「都市計画」「交通計画」「交通工学」「住民参加」とよばれる専門分野が培ってきた技術です。地域を読み解く「調査?分析」と、人々との「参画?協働」のふたつの技を駆使して、課題解決を目指しています。大事にしている価値観は「公共」です。やわらかく言えば「公」という大きなまとまりや、「共」という小さなまとまりの価値を大事にすることで、「個」の生活をより良いものにしようとしています。
教員メッセージ
日本の道路の安全性を高めたい! 道路の「かたち?しくみ?こころ」にアプローチ
誰もが使う生活道路で発生する交通事故をなくし、安心して歩ける道にしたい。その目標に向かって、「かたち、しくみ、こころ」の包括的なアプローチで日本型生活道路対策の確立に挑みます。ビデオ分析やGISを駆使した現象分析と、地域住民との協働による活動を通じて、住宅地や商店街、通学路の改善に取り組んでいます。
研究テーマや研究室の活動
主な研究テーマ1
通学路?生活道路?商店街の交通安全
二子玉川地区では、多くの乗降客と大小さまざまな商業施設への集客による賑わいがある一方で、国道246号が多摩川を越える橋梁の橋詰と玉堤通りの交差地点に位置し、周辺には環状8号や東名高速東京ICや第三京浜玉川ICなどがある交通の要衝にあることから、自動車?自転車?歩行者が交差する交通危険箇所が多く存在しています。ここに、公民の連携による二子玉川地区交通環境浄化推進協議会交通部会が主体となり、一風変わった親しみある交通安全の普及啓発活動が推進されています。2018年度からは、子ども参画による横断歩道の安全を守る「かるがもキャンペーン」に取り組み、横断歩道の歩行者優先をドライバーに訴えています。
主な研究テーマ2
中心市街地における路上駐車問題
?町田市中心市街地では、商店街における通行規制が広く施行され、商店街の歩行環境を守っています。一方で、個店が商売をする上で欠かせない荷捌きのために多くの車両が路上駐車をしている現状があります。町田市、中心市街地活性化協議会と協同して実施した実態調査より、通行許可証を持たない違反車両も通行している実態も明らかとなりました。より安全で快適な商店街を実現するため、ワークショップによる話しあいを重ねています。
主な研究テーマ3
地域を調査し分析するための技術
地域課題は、生活道路や通学路の交通安全、快適で安全な歩行環境の実現、そのためのバリアフリーや商店街の活性化、防災や防犯、子ども参画など、さまざまです。ここで重要な点は、それらは相互に結びつき地域固有の課題として存在しているという認識です。課題はさまざまですが、地域は一つなのです。この写真はGISというソフトウェアによる分析の一例です。三宿小学校出身の中学生が、大規模災害時に要援護者を広域避難場所まで避難する想定で、実際の街のなかでどのような困難があるのか課題を明らかにするワークショップのデータ分析です。
合同ゼミ
毎年、土木、建築、まちづくり、デザインを学ぶ学生が、互いの分野を越えて交流する大学間合同ゼミに参加しています。主催校が定めた特定の地域をフィールドとし、その地域固有の特性を学びながら、現地で活躍する方々から学び、互いの専門性を生かしてアイデアを出しあうなかで、実践的かつ総合的な思考力を高める機会となるよう期待しています。(2018年度は、福井大学、福井工業大学、岡山大学、福岡大学、国士舘大学の5大学6研究室が参加し、岡山県倉敷市にて開催されました。2019年度は東京開催予定です。)