林 賢是
Kenshi Hayashi
2024年入学
国士舘大学大学院 経済学研究科
経済学専攻
吉崎 司
Tsukasa Yoshizaki
2024年入学
国士舘大学大学院 経営学研究科
経営学専攻
2024年3月 国士舘大学大学院 法学研究科
法学専攻 修士課程 修了
「リスキリング」や「リカレント」などのワードを新聞やメディアで見聞きする昨今、「人生 100 年時代」とも言われる中で50 代、60代であっても学び直しの機会を求めることが当たり前になっている。長年の社会人生活を経て大学院へ入学した先輩たちは、どのようなココロザシで学び、どのようなキャンパスライフを送っているのか。
その実態を探るべく、大学院に在籍中の学生2名にクロスインタビューを実施。定年を迎え、または定年を間近に控えたタイミングから税理士の資格取得を目指し、大学院に入学した林氏と吉崎氏が対談。上記のテーマについて意見を交わした。
資格?スキルを身につけ、
セカンドキャリアを構築
セカンドキャリアとして税理士を目指した理由を教えてください。
林氏(以下敬称略):人生100年時代といわれるようになり、ひと昔前とは違い、一人ひとりが定年後の生き方を考えなければいけない時代になりました。実際、定年を迎えてもまだまだ元気で、“シニア”と呼ばれてもピンとこないのが正直なところ。しかし、先々を考えたときに就業環境が厳しくなっていくのは明らかです。私は定年まで公務員を勤め上げ、今は知人の会計事務所で働いています。税理士の資格を取得して長く働き続けたい、と思ったのが入学の動機です。
吉崎氏(以下敬称略):会社員として働いている頃から、“手に職がないままに退職してしまえば、その後の市場価値が不透明”という不安がありました。会社の再雇用制度を利用したとしても、働けるのは65歳まで。できれば80歳くらいまでは仕事をしたいと考えていたため、早期退職し、税理士の資格取得を目指すことにしました。父が司法書士で、80歳ぐらいまでマイペースで働き続けているのを、傍で見ていた影響もあります。資格があればこうして長く仕事を続けられるのか、と思いました。
?学びたいすべての人に
門戸を開く学風
大学院への入学にあたり
「国士舘」を選んだ理由を
教えてください。
林:たまたま用事で訪れ、自宅からのアクセスも良いし、ということで大学院について調べてみたのがきっかけです。経済学研究科に「租税法?会計コース」があり、基礎から体系的に学べることや、大学院に10研究科があって他の研究科の科目を履修できることも魅力でした。
吉崎:アクセスの良さは重要なポイントのひとつですよね。私も、自宅から自転車で30分以内、という条件のもとで検討を進めました。
林:社会人専攻や、夜間、土曜日に授業のある大学は他にもありますが、「社会人選考」に対する授業料減免や、税理士資格関連科目には関係ないものの「シニア特別選抜」も実施されており、年齢問わず積極的に受け入れている姿勢が感じられたのも決め手のひとつです。最近はリモート授業の大学院も増えているようですが、疑問点などをその場ですぐに質問できる対面?LIVEの環境で学びたいという気持ちもありました。
吉崎:もっと自宅に近い大学もあり、2つのどちらにするかで迷ったのですが、「国税庁 税務大学校」で教授を務め、実務家としての経験を持つ斉木秀憲教授に師事したいという思いが最終的な決め手になりました。税理士として仕事をしていくうえで、実務家の立場から教えていただけることは大きな糧になると思ったからです。
林:私はどちらかといえば、アカデミックに研究されている教授陣が多いところに魅かれたんですよね。外部講師などを教授として招き、限定された科目をスポット的に教える体制をとっている大学院も多いのですが、そうではなく、様々な領域を横断してアカデミックに研究している教授陣から、幅広い知識を学びたいと思いました。
吉崎:そうですね。国士舘には生粋の研究教員と実務家教員が揃っていて、両者がしっかりと大学に根を張りながら協働して指導に当たっています。多様なタイプの先生からご指導いただけるのは本学で学ぶ大きなメリットですよね。
苦もあれば楽もある、学びへの挑戦
入学後の生活について
教えてください。
林:知人の会計事務所に勤務しながら、平日1日と土曜日の週2日、通学して授業を受けています。平日の夜間、土曜日にも授業があるため、社会人が受講しやすい環境です。私は、税理士資格取得に必要な会計2科目は既に合格しているため、税法3科目のうちの2科目免除のための論文制作と残り1科目の受験勉強をしています。
吉崎:私は早期退職で仕事をやめて以降、資格取得の勉強に専念する日々を送っています。ゼロからのスタートだったため、最初の2年間は法学研究科に通い、税法2科目の免除を目指して論文を書いていました。今は、経営学研究科で、会計1科目免除のための論文を書いています。
林:いろいろな方が学んでいますが、多いのは、“会計2科目は合格済みで税法2科目の免除のために論文を書く”という、私と同様のケースかと思います。
勉強を進める上での
ご苦労はありますか?
吉崎:若い頃に比べると吸収力が落ちていて、記憶を定着させるのが本当に難しい(笑)
林:いや、ほんとに。覚える作業が辛いですよね。
吉崎:条文を正確に暗記してアウトプットするという学習が多いのですが、何度も繰り返しやらないと頭に入ってこなくて…
林:本当に大変です(笑)
吉崎:一旦頭に入ってもすぐに忘れちゃうんですよね(笑)。だから、“覚える”ではダメなのだと、“理解する”という方向で完全に咀嚼しないと知識が定着しないのだと思って、裁判事例をもとに対立する解釈を読み込み、条文に対する理解を深めるよう努めているのですが、なにしろ膨大な量の条文があるので、時間がいくらあっても足りません。多い日は1日10時間ぐらい勉強に費やしていますが、なかなか追いつけないですね。
林:私も、入ってきて忘れて、入ってきて忘れての繰り返しなので、合格体験本のようなものを参考にしながら、自分に合う学習方法を模索しているところです。
吉崎:いついつまでに絶対に合格する、と期限を決めて全力投球するしかない。そう腹を括っています。
林:学内で吉崎さんの姿を見かけるたび、“同年代の仲間が頑張っている”と励みにしています。関連業務に就いているため、前日に覚えたことが翌日すぐに役立つことがあり、それもささやかな手応え。年齢も経歴も異なる学生たちの多面的な意見に触れ、視野の広がりも感じています。学生の調査?研究や発表、意見を基にした参加型授業が多いので、自らの考えをまとめて体系的に文章を構成する力やプレゼンテーション力は少しずつ養われている実感がありますね。この年齢でもまだまだ成長できるんだな、と喜びを感じます。
「国士舘」の大学院で
学ぶ魅力を教えてください。
吉崎:少人数制で非常にきめ細やかな指導を受けられるのが最大の魅力です。先生方が個人の事情を考慮し、それに沿った指導をしてくださいます。
林:現在、経済学研究科と経営学研究科の授業を履修していますが、どの教授も疑問や相談に親身に対応してくださり、授業内容も、学術的な知見をもとにしながら実務?実業を意識した講義、多角的に考えさせる発表?討論など、多種多様。税法に関する専門知識だけでなく、職業会計人として仕事をしていく上で備えておくべき社会経済の幅広い知識まで、周辺領域を含めて幅広く学べます。
吉崎:法学研究科も経営学研究科も個々の事情に合わせて授業の時間帯を調整してもらえたり、関心領域に応じてカリキュラムの内容をアレンジしてもらえたりするのは、少人数制ならではの大きなメリット。先生方の横連携も密で、他の授業内容を把握した上で、それを受けて今日はここ、というふうに授業が進められています。指導教員以外の先生が論文を読んでアドバイスをくださることもあり、こんなに至れり尽くせりでいいのだろうか、と感じることも(笑)。この上なくありがたい環境で学ばせてもらっています。
林:入学前に想像していたよりずっと教授との距離が近くて、そのことにまず驚きました。質問事項や課題の進捗状況などに関して、直接メールをいただくこともしばしば。「税理士として仕事をしていくなら、お客さんのニーズに合わせられるようファイナンスのことも勉強した方がいいよ」と関連資料を教えてくださるなど、“幅広い知識を備えた職業会計人に”という意識が随所に感じられます。授業で渡される資料も充実していて、学生に対するサポートが手厚いです。
吉崎:学部で展開されている授業を安価で受けられるのも、総合大学ならではのメリット。私はプログラミングや動画制作の授業を履修しました。若い学部生と一緒に授業を受けるのは、リフレッシュにもなります。
林:社会人になると、学生と接する機会はなかなかないですからね。経営学研究科には中国からの留学生も多くて、様々な面で刺激を受けています。総合大学かつ対面?LIVEで授業を受けられる国士舘を選んでよかったと思っています。
税理士の資格を武器に、新たな道へ
修了後の展望を教えてください。
林: まだ1年目なので、授業に出て、ひたすら基礎を学んでいる最中です。課題をこなすことに精一杯で、論文に関しても、ようやくテーマを絞って図書館で資料集めを始めている段階。まだまだ越えなければいけない山が多くて、修了後の展望を具体的に描き切れていないのが現実です。
吉崎:私は経営学研究科を修了するまでにすべてを完結させ、修了後は、税理士として起業するのが目標です。中小企業をターゲットにし、税務会計周りだけでなく人事領域などにも踏み込んで、広くニーズに応えられるようにしていきたいと構想しています。社会保険労務士や中小企業診断士などの資格取得も中期的には視野に入れていますが、各領域の専門家と協働する形でもよいのかもしれません。知識を集約して、企業の課題解決のためのソリューションを提供できるようなスキームを構築していきたいですね。
林:今の会社で働き続けるにしても、独立するにしても、名刺に肩書きがあるとないとでは受け手が感じる説得力に大きな違いが出ると思うんですよ。これは、組織に属しているときには感じなかったことです。年を重ねても働いていたいから、資格やスキルが必要。そう思ったのが、入学の動機のひとつでもあります。税理士の資格が、これからの自分を支える大きな力になってくれると考えています。
深い知見を備える教授陣による導きと手厚いサポート体制、そして柔軟な計らい。仕事や家庭と両立しながら“大人”が心置きなく勉学に取り組める環境がここにはある。10研究科15専攻を擁する大学院で、拡大する社会のニーズに応え、「何歳であっても学べる環境」を醸成してきた国士舘大学大学院。キャリア?スキルアップを志したい方、専門性を究めたい方は、ぜひ「国士舘」の門を叩いてみてほしい。